ふじもりのブログ

社会人になってリセットしました。

夏を待ちきれなくて

 

どーも、ふじもりです。

 

 

 

 

#0

 

女性にプレゼントなんて柄にもないことは百も承知。

しかし、我が人生の伴侶になる方の生誕祭に何も捧げないなど言語道断。さぁ、立ち上がれ。車に乗れ。とりあえず街に出ろ。あとは直感。この頼りない脳ミソが導いてくれるはずだ。

 

 

#0

プロローグ 完

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#1

 

パートナーの誕生日というのは私にとって、年に一度訪れる「試される時間」である。すべてが私に委ねられているため、うまくいかなかった場合の責任がすべて私にある。

ゆえに、よく考えた上で決定する必要があるわけだが、考えるにあたり拠り所とする知識がない。誰かに教わった覚えもない。体系数学には載っていなかった。重要問題集にも載っていなかった。もちろんシス単にも載っていなかった。

また、「試される時間」とは言ったものの、具体的に何を試されているのか分からない。これまでに勉強した範囲から出題されるのが学校の試験だとしたら、これは何の試験の時間なんだ。何を裁くハカリなんだ。何を狙って付き合うんだ。何が車を動かすんだ。それはガソリン。

というわけで、ガソリンを入れて準備万端。私の住む八代市から熊本市へ向かうことに。申し訳ないが八代市だと贅沢な買い物はできない。

 

車中、私はいつもスマホSpotifyから平成初期の懐メロを流している。ただしTUBEだけは暑苦しいのでスキップする。

懐かしさに浸りながら、ついでに誕生日プレゼントの参考になりそうな歌詞に出くわさないかと耳を傾けていたら、

 

♪~ あなたが私にくれたもの

♪〜 キリンが逆立ちしたピアス

 

なるほどな。

誰かを参考にしようという考え方が間違っていたようだ。とうとう碌なアイデアが出ないまま熊本市に入ってしまった。

 

今日は日曜日。百貨店で買い物すると駐車料金がタダになるという安直な理由で、渋滞に飲まれながら百貨店に隣接する立体駐車場まで行ったものの満車。近くで駐車場を探すのだが、けっこう料金が高いし、歩行者が多いから狭い道には入りたくないし、そもそも見つかる駐車場がどこも満車ばかりだ。

百貨店近くに停めることを諦めた私は、少し引き返し、水前寺公園で有名な水前寺へ。ここで安い駐車場を探そう。そして路面電車で繁華街へ向かうことにするか。繁華街の駐車場に停めるよりも結果的に安くなりそうだ。

渋滞と駐車場探しで無駄に時間を潰してしまった。はじめから水前寺に停めて路面電車で行く計画でよかった。繁華街が混んでいることを予測できればよかった。まさに、急がば回れ/

 

\ ピンポン /

 

早かった、白の方。

 

「琵琶湖!」

 

ご名答。急がば回れの語源となった湖はどこでしょう、正解は琵琶湖、ということで、白の方が正解。さぁて白の方、何番。

 

「3番!」

 

3番に白が飛び込んだ。これで残るパネルはあと1枚という状況。最後の1枚、2番をコールするのはどなたか。沢木さんよろしく。

 

申し訳ない。話が脱線してしまった。

 

路面電車だけに。

 

 

新水前寺駅前で通りかかった駐車場が空車の表示だ。近づいて覗いてみると1箇所だけ空いているではないか。停める、絶対に停める。駐車場を探して熊本の街を何分も走り続けてようやく見つけたのだ。料金など見なくていい。とりあえず停める。

最後の1マス、2番に茶色のアルトを停めた私は新水前寺駅から路面電車に乗るのであった。

 

 

#1

「5駅の間、ご辛抱」 完

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#2

 

路面電車に乗って5駅。さっき駐車場を探して車で彷徨っていた場所にようやく降り立った。未だに百貨店の駐車場は満車で、前の道は大渋滞。誘導員が他の駐車場を当たってくれと赤く光る棒をグルグル回している。この混み具合を見ると、遠くに停めて正解だったようだ。

 

その百貨店に入る。自動ドアが開いた瞬間に鼻を突き刺す化粧品の匂い。文字通り突き刺してくる感覚。ドラえもんの道具に「コエカタマリン」というのがあるが、それの匂い版。匂いが物理的に顔面を殴ってきたかのようだ。

 

そそくさと階段を早足で上り、2階へ向かう。女性向けのバッグや財布のお店が連なっている。こんな男が1人で来る場所ではないことは明らかである。しかし、おそらく何かを買うとすればこのフロア。キョロキョロとお店を眺めながら2階を歩き回る。ポケモン不思議のダンジョンならリンゴを食べないと死ぬくらい歩き回った。

 

彼女の身につけていたブランドのお店をいくつか見つけた。この中から入るお店を決めよう。一度お店に入れば、買わないと出られない空気になりかねないので、最初に入る店は慎重に選択せねばならない。

 

 

決めた。

 

 

まーく じぇいこぶす

 

 

西武の助っ人外国人にいそうな名前が私の心を掴んだ。50試合に登板、中継ぎとして活躍するが時々球が荒れまくり大炎上してしまうような名前だ。背番号は54が似合いそう。あぁそれだと阪神の加治屋になってしまう。

 

そんな助っ人外国人のお店に入った私。1人で商品を眺める姿があまりに不憫だったのか、とてつもない早さで店員に話しかけられた。あの瞬間の店員のスピードはもはや周東佑京。気配を消すのも上手く、気付いたら背後にいた。履歴書の特技欄には「ホームスチール」と書けばいいと思う。

 

「何かお探しですか?」

 

 

当たり前の質問なのに、何を答えるか準備していなかった。傾向と対策がまったくできていなかった。1問目からピンチである。最初の問題が解けないと焦って動揺して以後の問題に影響が出てしまう。ここはどうにか乗り越えたい問題だ。

 

「ちょ、ちょっと、女性へのプレゼントを探してるんですけど、あんまり詳しくないんで〜ハハハ」

 

絞り出したにしては無難なことを言ったつもりであったが、あまりにも早口で落ち着きがない私。店員、次は何と言うか。

 

「女性と言いますと、お友達ですかねー?」

 

そういう質問もされると思っていた。品物の種類とか、予算とか、関係性で変わるだろうから当然だ。しかし1問目で既に動揺している私は言葉を発するのに時間を要した。

しかも、この質問にどう答えるかは難しい。お友達といえばそうだし、彼女といえばそうだし、なんなら嫁と答えても良い場面である。

質問されてから数秒の間に考えた結果、嫁と答えるのが無難な気がしてきた。どうせ数ヶ月後には嫁になるわけだから。そのときにはまたブログ書くね。

 

「あの…そう…妻ですね。誕生日が近いんですよ」

 

友達か彼女か嫁かで悩みすぎた結果、嫁の誕生日が近いからプレゼントを探している旦那が絶対に空けてはいけない間を作ってしまった。しかし店員は怪しむ素振りを見せずに笑顔で返してきた。

 

「そうなんですね!おめでとうございますぅ!」

 

模範解答だ。接客の基本をしっかり押さえた返答だ。傾向と対策がしっかりできている。この人なら円周率が3.05より大きいことを証明できるだろう。

 

この店員にいろいろ尋ねて、いちばんオススメされた物を買おう。結局私がどれだけ悩もうと、女性店員が勧めてくれた物がいちばん信頼できるのだ。

 

#2

昨年よりやや難化 完

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#3

 

店員にいろいろ聞かれた。

 

予算はいくらくらいですか?財布やバッグがありますが何がいいですか?アクセサリーとかもありますよ?奥様は普段どんなものを使われてるんでしょうか?

 

分からないことには分からないと答え、それでも親切にアドバイスをくれる店員に感謝である。さっきは周東とか言って申し訳ない。あなたはもっと凄い。ピノだ。ファミスタの韋駄天。周東より速いからピノ。以降ピノちゃんと呼ぼう。

 

ピノちゃんといろいろ会話をしながら、プレゼントの候補を3つに絞った。ここから先は「彼女が似たようなものを持っているかどうか」だけが懸念材料である。私の記憶を掘り起こす時間が始まる。

 

これに似た物を持っていたような…いや持ってないか…持ってたとしても昔だから古くなってるか…

 

悩む私をピノちゃんが微笑みながら見守ってくれている。「似たような物を持っていたら辛いですものねー」と同調してくれる余裕っぷりだ。

 

 

悩み抜いた結果、なんとか1つに決めた。

 

「これに決めます」と言った途端、さっきまで談笑しながらプレゼントを選ぶ時間を共有していたピノちゃんが、急に電卓に金額を打ち込んで見せてくる。そうかそうかつまり君はそういうやつだったんだな。早く決めて金払ってくれたらそれでいい、そんなこと思ってたんじゃないのか。それが店員の使命だから仕方ないか。現実とは冷たいものだ。お腹に触れた瞬間の聴診器くらいの冷たさ。

 

「カードで」と私。さっきまでの時間が嘘のように淡々と会計手続きが進む。登録すればクーポンやメルマガがどうのこうのと説明されたが、しばらくここで買い物しないことは確定しているので断った。

 

さっき決めたプレゼントは紙袋に入り、小雨が降っていたのでビニールを掛けてもらった。ピノちゃんは「入り口までお持ちしますね」と紙袋を持って店の入り口まで来てくれた。10歩もあれば入り口だったので早く渡してくれてもよかったのだが。接客の基本を押さえているピノちゃんの徹底ぶりは流石であった。

 

 

品物を持って百貨店を出た。もう熊本市に用はない。水前寺に向かい車に乗って帰路に着く。もちろんTUBEの曲はスキップする。

 

帰宅。買ったプレゼントは帰省に使う大きなカバンに入れて、これで忘れることはない。

 

#3

帰り道の思い出ゼロ 完

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#4

 

なかなか長文になってしまった。普段からしょうもないことをバカ真面目に考えているので、思ったことをすぐ文字に起こせるブログとは相性が良いかもしれない。読者からすれば長ったらしく面白くないので相性が良くないかもしれない。これを楽しんで読める人がいたら是非教えてほしい。

 

久々に書いた長文。楽しんでいただけたら光栄である。普段仕事で作っている書類の何倍も読み直してからアップしている。仕事の手は抜いても趣味に手は抜かない。いやいやいや仕事の手も抜いてませんからね。

 

 

 

#4

エピローグ

タイトルがTUBEの曲であることに気付いた人と仲良くしたい。 完